夫が親族の経営する小さな会社で役員をしています。夫は「給料が少ないから婚姻費用(生活費)は少ししか払えない」と言いますが、実際の生活ぶりを見ると、とてもその給料だけで生活しているとは思えません。裁判所は夫の言っている給料額をそのまま信じて、婚姻費用を計算するのでしょうか。

原則として、ご主人の役員報酬の金額が「著しく低廉」(非常に低い)であっても、その名目上の金額を基に総収入が認定されます。
しかし、ご主人のように、自身や親族が経営する小規模な同族会社に勤めていて、役員報酬の額を自身の意思で決められる立場にある場合、そして、生活水準や会社の経営状況から見て、名目上の役員報酬以外にも会社から経済的利益を得ていると合理的に考えられるときは、事情が異なります。
このような場合、裁判所は名目上の役員報酬だけでなく、実際に得ていると考えられる経済的利益(たとえば、水道光熱費や通信費などの個人的な支出を会社が負担している、会社から住宅や車両を無償または低額で借りている、維持費を会社が負担している等)を加味して、ご主人の実際の収入額を推計することがあります。
これは、経営者やその家族が一般の従業員より著しく低い収入で生活しているとは通常考えにくく、会社が堅調に経営されているのであれば、平均賃金以上の収入を得ていると推測されるためです。
推計の際には、会社の他の役員や従業員の報酬額、または賃金センサス(賃金に関する統計データ)などが参考にされることがあります。
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