私は仕事を辞めてしまいましたが、失業手当の期間が終わってからも、なかなか次の仕事が見つからず、まだ働いていません。この場合、婚姻費用(別居中の生活費)を計算するとき、私は全く収入がないと見てもらえるのでしょうか。
いいえ、失業手当の受給期間(原則として離職日の翌日から1年間)を過ぎても、再就職していない場合には、「潜在的な稼働能力」があるものとして収入が認定されることがあります。
「潜在的な稼働能力」とは、実際には働いていなくても、「通常であればこれくらいは稼げるだろう」と推定される収入のことです。
ただし、その認定はあなたの年齢、健康状態、学歴、職歴、離職理由、就職活動の状況などを総合的に考慮し、「控えめに(謙抑的に)」判断されます。
裁判所がこのような認定を行うのは、「働けるのに個人的な事情で就労しておらず、その結果、扶養義務の公平を欠く」と判断される場合に限られます。
たとえば、十分な職歴があるのに「自分に合う仕事がない」といった理由で再就職を避けている場合、性別や年齢ごとの平均賃金と比較して、少なくともその程度の収入を得る能力があると見なされることがあります。
もっとも、現実には中高年層の再就職が困難なことも多く、以前の収入の6〜7割程度の潜在的稼働能力が認定されるにとどまることも少なくありません。
なお、健康上の理由による就労困難を主張しても、診断書の記載だけでは足りず、その病状が具体的にどの程度就労に支障を与えるかについて、裁判所が慎重に検討します。
特にうつ病などの精神疾患については、主観的訴えに基づく診断書も多く見られるため、内容の信用性が厳しく審査される傾向にあります。