はい、性行為や肉体関係がない場合でも、不貞行為又は不法行為として、慰謝料の支払い責任を負う可能性はあります。

不貞行為の典型例は性行為・肉体関係ですが、「第三者が相手配偶者と肉体関係を結んだことが違法性を認めるための絶対的要件とはいえない」と解されており、
性行為・肉体関係を伴わない行為であっても、「婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性のある行為」は加害行為になりうるとされています。

裁判例上、明白な性行為や肉体関係がない場合についての、慰謝料責任の有無の判断事例を以下に示します。
親密なメールや肉体関係を伴わないデートについては、事案によって判断が分かれる結果となっています。

【慰謝料責任を肯定した例】

・持病により性的不能であるが、下着姿で抱き合う行為

・第三者が一方の配偶者との間で婚姻を約束して交際し、その配偶者に対し別居および離婚を要求し、キスをした行為

•抱擁やキス（性行為に準じるものとみられない場合については不法行為の成立を否定した例もあり。相手方が外国人で挨拶としてされたものなど）

・第三者から配偶者へ「逢いたい」「大好きだよ」等の愛情表現を含むメールを送った行為（違法性は軽微とされ慰謝料は低額とされた）。
但し、親密なメール連絡については、違法性はないと判断された裁判例もあり。

・かつて配偶者と不貞関係にあった第三者が深夜の時間帯に配偶者と面会していた行為

【慰謝料の支払責任を否定した例】

・配偶者が異性と手をつないでいた行為

・配偶者が内緒で第三者と会ったりメールのやり取りをしていた行為

・勤務時間外に頻繁に2人で会い、昼食や夕食、映画鑑賞などをした行為