相手が勝手に家を出て行って別居しているのですが、それでも相手に生活費を支払う義務があるのでしょうか?「勝手に出て行った」ことを理由に支払いを拒否できますか?

相手(婚姻費用を請求している側)が「勝手に家を出て行った」というだけでは、婚姻費用の分担請求が否定されたり、制限されたりすることはありません。
家庭裁判所の実務でも、たとえあなたが「相手は勝手に家を出て行ったのだから、同居義務に違反している」
「悪意の遺棄(夫婦としての義務を故意に放棄すること)に当たる」と主張したとしても、
それが認められて婚姻費用の支払い義務が免除されたり、金額が減額されたりすることは基本的にありません。
その理由は、婚姻費用を支払う義務は、夫婦が共同生活をしているという事実状態から生じるのではなく、
「婚姻」という法律関係そのものから生じる義務だからです。
また、「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく夫婦としての協力や扶助の義務を放棄する、社会的に非難される行為を指しますが、
単に無断で別居しただけでは、そこまで非難に値する行為とは言えません。
したがって、相手に不貞行為があったと認められるような事情がない限り、あなたは婚姻費用の負担を受け入れざるを得ない可能性が高いといえます。
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