高額所得者の婚姻費用を計算するのに、上記の計算方法以外にも、裁判所が採用する特別な方法はあるのでしょうか。もし複数あるなら、どれが一般的ですか。

はい。裁判所によっては、上記のような標準的な方法とは異なるアプローチがとられることもあります。
例えば、夫の総収入から税金等を実額で控除したうえで、さらに「相当な貯蓄分」を控除して基礎収入を認定した例(東京高決 平成28年9月14日)があります。
また、年収1億5,320万円のケースでは、標準的な算定方式を適用するのが困難とされ、当事者双方の同居時・別居後の生活水準や支出状況などを総合的に考慮して婚姻費用を算定した例(東京高決 平成29年12月15日)もあります。
もっとも、これらの方法には、

「相当な貯蓄分」の算定根拠が不明確である
標準的な計算方式との乖離が大きく、予測可能性を欠く

などの批判もあります。
したがって、実務では、Q2で説明したように、公租公課・特別経費・職業費を差し引いて基礎収入を算定する方式が、最も汎用性の高いアプローチとして用いられることが一般的です。
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